写真を始めたころは、
とにかくうまくなりたかった。
構図。
光。
設定。
上手い写真を見ては、
同じように撮れない自分に少し焦った。
でも、あるとき気づいた。
うまい写真と、
好きな写真は、
少し違う。
解像が高くて、
整っていて、
破綻がない。
それは確かにすごい。
けれど、
心に残るとは限らなかった。
むしろ、
少し甘くて、
少し滲んでいて、
どこか曖昧な写真の方が、
あとから思い出すことが多い。
写真は、
評価されるためのものじゃなくて、
自分がその場で感じた空気を、
置いてくるためのものでもいい。
うまくなくてもいい。
説明できなくてもいい。
誰にも伝わらなくてもいい。
その日、その場所で、
確かに感じた何かが、
自分の中に残っていれば。
写りより、気配。
うまさより、余白。
いまは、
その感覚を大事にしている。