なぜこの考え方にたどり着いたのか。
それは、僕がこれまで生きてきた時間と、自然につながっている。
子どものころ、RPGゲームが好きだった。
物語の世界に入り込み、その場所ごとの空気や雰囲気を感じるのが楽しかった。
気づけば現実でも、同じ感覚を持っていた。
海に行ったとき。
神社に立ったとき。
どこにいても、その場所に流れている雰囲気を、ただ味わっていた。
あとから思えば、
あのころ感じていた「世界の雰囲気」を、
写真でも残したかったのかもしれない。
写真を撮り始めたころは、何も考えていなかった。
ただ、写真がうまくなりたい。それだけだった。
いろいろなジャンルに挑戦して、撮ること自体は楽しかった。
でも、どこか違和感が残っていた。
もともと映画が好きで、ある日、YouTubeで映画に使われたレンズを解説する動画を見た。
当時は、動画にも挑戦してみようと思っていた時期だった。
映画を作るには、もちろん性能の高いカメラが必要になる。
でも、それだけじゃない。
どんな画を作りたいかによって、
カメラやレンズを選ぶ。
そんな考え方があることを、その動画で知った。
そのとき、ふと思った。
この考え方を、写真にも使えばいいんじゃないか。
世界の雰囲気を、
そのまま残せる気がした。
機材に縛られなくてもいい。
純正じゃなくてもいい。
その場に残っている空気を写すために、
自由に選べばいい。
そう考えるようになってから、
写真との距離が少し変わった。
写りの良さよりも、気配。
完璧な描写よりも、
そこに確かにあった何かが、静かに残ること。
今は、その感覚を頼りにシャッターを切っている。